さらに道府県民税と市町村民税にはそれぞれ所得割と均等割があります。
均等割は一定額なのでわかりやすいですが、所得割は計算して算出します。
基本的に所得税と同じ計算ですが、収入、所得、給与所得控除、経費、課税標準額、所得控除などの控除、税率といった要素があります。
また住民税決定通知書の項目にも、所得、課税標準、所得控除、税額といった項目があります。
これら、収入、所得、給与所得控除、経費、課税標準額、所得控除などの控除、税率、税額のうち、一番とっつきにくいのは課税標準額ではないでしょうか?
課税標準額とは?わかりやすくカンタンに言うと?
所得-控除
課税標準額とは?わかりやすくカンタンに言うと? 所得-控除
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住民税には道府県民税と市町村民税があります。
道府県民税と市町村民税にはそれぞれ所得割と均等割があります。
所得割を計算するには、課税標準に税率をかけます。
つまり諸々計算した結果、税率をかける対象となるのが課税標準です。
- サラリーマンの場合
- 所得割=課税標準×税率
- 課税標準=所得−控除
- 所得=収入-給与所得控除
- 個人事業主やフリーランスの場合
- 所得割=課税標準×税率
- 課税標準=所得−控除
- 所得=収入-経費
所得割のくわしい計算方法
所得とは
個人事業主の場合
所得=収入-経費
サラリーマンの場合
所得=収入-給与所得控除
控除(所得控除)とは
所得から控除を引いたものが課税標準になりますが、この控除は所得控除です。
所得控除
- 雑損控除
- 医療費控除
- 社会保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 寄付金控除
- 寡婦・寡夫控除
- 勤労学生控除
- 障害者控除
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 扶養控除
- 基礎控除
- 青色申告特別控除
その他に住民税に関係する控除は? 税額控除や特定支出控除など
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住民税にも所得税同様、さらに細かい控除があります。
例えば税額控除や特定支出控除です。
税額控除
- 配当控除
- 外国税額控除
- 寄附金税額控除
- 調整控除
- 配当割額及び株式譲渡所得割額の控除
- 住宅借入金等特別税額控除(住宅ローン控除)
(出典:東京都主税局HP)
特定支出控除
- 一般の通勤者として通常必要であると認められる通勤のための支出(通勤費)
- 勤務する場所を離れて職務を遂行するための直接必要な旅行のために通常必要な支出(職務上の旅費)
- 転勤に伴う転居のために通常必要であると認められる支出(転居費)
- 職務に直接必要な技術や知識を得ることを目的として研修を受けるための支出(研修費)
- 職務に直接必要な資格を取得するための支出(資格取得費)
- 単身赴任などの場合で、その者の勤務地または居所と自宅の間の旅行のために通常必要な支出(帰宅旅費)
- 次に掲げる支出(その支出の額の合計額が65万円を超える場合には、65万円までの支出に限ります。)で、その支出がその者の職務の遂行に直接必要なものとして給与等の支払者より証明がされたもの (勤務必要経費)
- 書籍、定期刊行物その他の図書で職務に関連するものを購入するための費用(図書費)
- 制服、事務服、作業服その他の勤務場所において着用することが必要とされる衣服を購入するための費用(衣服費)
- 交際費、接待費その他の費用で、給与等の支払者の得意先、仕入先その他職務上関係のある者に対する接待、供応、贈答その他これらに類する行為のための支出(交際費等)
(出典;国税庁HP)
住民税の所得割と所得税の計算方法は違うの? 基本的に同じ
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住民税の所得割と所得税の計算方法は基本的に同じです。
違いといえば住民税の所得割は、税率をかける対象を「課税標準」と表現しているところ、所得税では「課税所得」となっています。
これは、表現している官公庁や団体によっても違うようですが、基本的に同じものを指していて、「課税標準(課税所得)」と表現しているものもあります。
ただ大きく違う点は、所得税の計算は、その計算によりまさしく所得税が計算されていますが、住民税の所得割は、住民税の一要素でしかなく、道府県民税にも所得割があり、市町村民税にも所得割があります。
住民税の所得割
所得税の計算方法
住民税とは? 徴収目的、納付者、納付方法、確認方法、節税方法など
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住民税には道府県民税と市町村民税があり、それぞれに所得割、均等割があり、そのうち所得割については収入から給与所得控除や経費、また所得控除など差し引いた課税標準に税率をかけて算出します。
では、その住民税の徴収目的、納付者、納付方法、確認方法、節税方法などはどうなっているのでしょうか?
住民税の徴収目的
住民税は地方税で、教育、福祉、消防・救急、ゴミ処理などの身近な行政サービスに使われています。

住民税の納付者
住民税には納付義務者と住民税が課税されない人(住民税非課税世帯)がいます。
- 住民税納付義務者
- 住民税非課税世帯(住民税が課税されない人)
住民税納付義務者
住民税の納付義務者は、市町村に住所がある人および市町村に住所はないが、事務所、事業所または家屋敷のある人です。
- 市町村に住所がある人
- 市町村に住所はないが、事務所、事業所または家屋敷のある人
また、市町村に住所がある人、市町村に住所はないが、事務所、事業所または家屋敷のある人によって「均等割」「所得割」の要件が変わってきます(均等割、所得割については後述)。
市町村に住所がある人 | 市町村に住所はないが、事務所、事業所または家屋敷のある人 | |
---|---|---|
均等割 | 〇 | 〇 |
所得割 | 〇 | × |
住民税非課税世帯(住民税が課税されない人)
住民税を課税されない人(住民税非課税世帯)もいます。
- 生活保護を受けている
- 未成年者、障がい者、寡婦、ひとり親で前年の合計所得金額が135万円以下(所得が給与所得のみ場合は、給与収入が204万4000円未満)
- 前年の合計所得金額が各地方自治体の定める額以下
均等割、所得割、非課税は市町村によって違う
特に「前年の合計所得金額が各地方自治体の定める額以下」という要件が、「各地方自治体の定める額」となっているように、住民税の非課税の要件は市町村によって違います。

住民税の納付方法
住民税にはふたつの納付方法があります。
それは、
- 普通徴収
- 特別徴収
です。
日本は申告納税制度を採用していて、本来住民税や所得税などは、自分で申告して納税することになっています。
しかし、サラリーマンの場合は会社が源泉徴収し、年末調整をして、社員の代わりに確定申告をしています。
そこで、本来自分で納付するという意味で「普通徴収」、会社が代わりに納付してくれるのが「特別徴収」です。
普通徴収は個人事業主やフリーランスなどの住民税の納付方法です。

住民税の確認方法
個人事業主やフリーランスの場合、住民税決定通知書(納付通知書など)で自分で納付しているので、自分がいくら住民税を払っているかは意識しているでしょう。
しかし、サラリーマンの場合は、源泉徴収や年末調整でラクができているがゆえ、自分がいくら住民税を納付しているか?を意識していないかもしれません。
会社から配布される住民税決定通知書で住民税の納付金額を確認することができます(令和6年(2024年)から電子化可能)。
また後述しますが、ふるさと納税や住宅ローン控除を利用していると、住民税から控除されるので、その確認の意味でも住民税決定通知書を見ることでしょう。

住民税の節税方法
ふるさと納税も住宅ローン控除も認知度の高い制度です。
このふるさと納税や住宅ローン控除は、実は住民税や所得税から控除されるという形で、その恩恵を受けられるのです。
ふるさと納税のワンストップ特例で申請すると住民税からの控除、確定申告であれば住民税と所得税の両方からの控除となります。
また、住宅ローン控除は基本的に所得税から控除されますが、所得税で控除しきれなかった部分は住民税から控除されます。
>ふるさと納税や住宅ローン控除など節税についてくわしくはこちら

住民税にも罰則がある? 督促状、延滞金、財産差し押さえ
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住民税の滞納にも罰則があります。
- 督促状
- 延滞金
- 財産差し押さえ

その住民税決定通知書、本当に住民税決定通知書? 住民税決定通知書はいろいろな名称がある
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一般的に住民税決定通知書と言っていますが、市町村によって、またサラリーマンか個人事業主やフリーランスによって住民税決定通知書の名称が違います。
例えば以下のとおり
- 特別徴収税額通知書
- 納税通知書
- 税額決定兼納税通知書
- 個人市民税・県民税の税額決定通知書
- 住民税課税決定通知書
- 市県民税税額決定通知書・納税通知書
- 個人住民税の税額決定・納税通知書
- 納税通知書・税額決定通知書
- 住民税納付通知書
- 市民税・都民税(住民税)納税通知書
- 個人住民税(市民税・都民税)納税通知書
- 個人市・府民税の通知書類
- 市民税・県民税 特別徴収税額の決定通知書
- 特別区民税・都民税 税額決定・納税通知書
すべて住民税決定通知書です。
住民税決定通知書が会社からもらえない? 会社に聞くか、代替手段を
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令和3年度税制改正大綱によって、令和6年(2024年)から住民税決定通知書(特別徴収税額通知書)も電子化可能になると発表されています。
「え?紙じゃなくてデータなの?」と思う人もいるかもしれません。
ただこの住民税決定通知書(特別徴収税額通知書)も電子化は、令和6年(2024年)からです。
ですので住民税決定通知書が会社からもらえない場合には、会社、会社の給与担当者に聞いてみましょう。
住民税決定通知書は、源泉徴収→税務署→市町村→会社という所得などのデータの経路をたどって、市町村から会社用と社員用が配布されています。
ですので、会社に市町村から住民税決定通知書が届いていないということは考えにくいです。
会社に聞く
まずは、会社、とりわけ給与担当者に聞いてみましょう。
まだ市町村から届いていないかもしれませんし、給与担当者がまだ配布していないかもしれません。
代替手段で対応
住民税決定通知書でふるさと納税や住宅ローン控除の控除結果を見たいのであれば、課税証明書、納税証明書でも確認することができます。
マイナンバーカードを持っていれば、コンビニでも取得することができます。
住宅ローンを組む際に、返済能力を証明するために住民税決定通知書が必要なのであれば、課税証明書、納税証明書でも代用できる可能性があります。
目的は収入、特に所得の確認のはずなので、本来課税証明書、納税証明書の方が適しているのです。
ただ相手もあることなので、絶対的にそれが可能かというのはわかりません。
>住民税決定通知書が会社からもらえない件についてくわしくはこちら

まとめ
課税標準額とは?ということでしたが、わかりやすくカンタンに言うと課税標準=所得-控除です。
その他に住民税に関係する控除はなにか?ですが、税額控除や特定支出控除などがあります。
住民税の所得割と所得税の計算方法は、基本的に同じです。
住民税とは?というこで、その徴収目的、納付者、納付方法、確認方法、節税方法などをまとめてみました。
住民税に未納にも罰則があります。督促状が来て、延滞金、財産差し押さえです。
住民税決定通知書はいろいろな名称があります。
住民税決定通知書が会社からもらえない場合は、会社に聞くか、代替手段を考えましょう。
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