国民の三大義務に、教育の義務、勤労の義務、納税の義務があります。
その納税の義務のうち、身近で一般的な納税には、国税である所得税と地方税である住民税があります。
ヘタをすればサラリーマンであると源泉徴収をされているので、住民税を納付していることすら知らないという人もいるでしょう(私がかつてそうでした)。
税金を納めていることはわかっていても、所得税が国税で、住民税が地方税、さらにその地方税である住民税がなんのための税金なのか?またどのように計算されているのか?いったいいくらくらい納付しているのか?
住民税ってなに?
住民税は地方税 身近な行政サービスに使われている
- 住民税ってなに? 住民税は地方税 身近な行政サービスに使われている
- 住民税の確認方法は? 住民税は住民税決定通知書で確認する
- 住民税って節税できないの? 所得控除と税額控除で減税
- 住民税の納付方法は? 普通徴収と特別徴収がある
- 住民税って誰が納めるの? 市町村に住所がある人
- 住民税ってどうやって計算するの? 道府県民税と市町村税、所得割と均等割
- 住民税と所得税に納付時期の違いがあるって? 住民税は後払い、所得税はその時払い
- 住民税を滞納すると? 延滞税が発生 最悪財産差し押さえ
- 微妙に住民税決定通知書ではないのだが? いろんな呼び方がある住民税決定通知書
- 住民税決定通知書が会社からもらえない? 課税証明書や納税証明書で代替もしくは会社にお願い
- まとめ
住民税ってなに? 住民税は地方税 身近な行政サービスに使われている
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- 住民税は地方税
- 住民税は身近な行政サービスに使われている
- 住民税には市町村民税と道府県民税がある
住民税は地方税です。
教育、福祉、消防・救急、ゴミ処理などの身近な行政サービスに使われています。
住民税には「市町村民税」と「道府県民税」があります。
また、住民税には「個人住民税」と「法人住民税」があります。
県民、市民、町民など個人が負担するものが「個人住民税」、会社などの法人が負担するものが「法人住民税」です。
住民税は地方税ですが、地方税ということはそれと対比するものがあり、それは国税ということになります。
国税は所得税などです。
住民税の確認方法は? 住民税は住民税決定通知書で確認する
- 住民税は住民税決定通知書で確認する
- 住民税決定通知書でわかることは
- 住民税の金額
- 所得
- 控除
- 課税所得
住民税は、1月1日現在、本拠地(生活の中心的場所)などに住所がある市町村に納付します(詳細は後述)。
では、その住民税の確認方法は?というと、住民税決定通知書で確認することになります。
住民税決定通知書では以下のことがわかります。
- 住民税の金額
- 所得
- 控除
- 課税所得

住民税って節税できないの? 所得控除と税額控除で減税
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住民税の節税というと、パッとすぐに思いつく人は少ないのではないでしょうか?
カンタンに、もっとも身近なものを例に出すと、ふるさと納税や住宅ローン控除が住民税の節税にあたります。
さらにくわしく考えると、「所得控除」と「税額控除」が住民税の節税に関係してきます。
住民税の節税を考えるとき、理解すべきは住民税の計算方法になり、「所得割」という部分に関し節税できることになります。
住民税の計算方法については後述します。
所得控除
住民税の節税に関係するのは、「所得控除」と「税額控除」です。
そのうち所得控除にはどのようなものがあるかですが、
・雑損控除
・医療費控除
・社会保険料控除
・小規模企業共済等掛金控除
・生命保険料控除
・地震保険料控除
・障害者控除
・ひとり親控除、寡婦控除
・勤労学生控除
・配偶者控除
・配偶者特別控除
・扶養控除
・基礎控除
これらはサラリーマンの場合は年末調整時に、個人事業主やフリーランスの場合は確定申告時に控除の申請をします。
つまり、きちんと控除の申請をしていないと、このように住民税にも影響がでてきてしまうということです。
これらは、どちらかというと消極的な節税となりますが、
この中でも医療費控除については、例えばサラリーマンの場合は概算で10万円として計算されているので、医療費控除の確定申告(還付申告)をすることによって、10万円を超えた部分にかかった住民税が還付されます。
つまり、医療費控除の確定申告(還付申告)はやらなけらば還付されないという積極的な節税と言えるでしょう。
税額控除
税額控除は積極的な節税と言えるでしょう。
以下のようなものなどがあげられます。
- ふるさと納税
- 住宅ローン減税
- 寄附金控除
ふるさと納税
ふるさと納税をすると住民税が控除されます。
ふるさと納税にはワンストップ特例制度と確定申告があります。
ふるさと納税 ワンストップ特例制度
ふるさと納税をワンストップ特例制度を利用して申請すると、住民税の減税のみの控除となります。
ふるさと納税 確定申告と住民税決定通知書
ふるさと納税を確定申告すると、住民税と所得税の両方からの控除となります。
ふるさと納税を行った年の所得税からの控除(還付)と、翌年の住民税から控除となります。
住宅ローン控除
家を買うときに住宅ローンを利用した場合、住宅ローン控除によって、年末時点での住宅ローンの残高の1%が、入居時から10年間にわたって、住民税や所得税から控除されるというものです。
住宅ローン控除は、正式名「住宅借入金特別控除住宅ローン減税」で、住宅ローン控除とも言われています。
住宅ローン控除を受けるには、
- 1年目は確定申告(還付申告)
- 2年目以降は年末調整
です。
1年目は確定申告(還付申告)
1年目は確定申告(還付申告)します。
ここで注意しなければならないのは、住宅ローン控除は還付申告なので、2月16日~3月15日ではありません。
1年中いつでもできます。
さらに言えば5年間さかのぼって申告できます。

ただし、個人事業主やフリーランスなどの確定申告の場合は、還付申告ではなく確定申告なので2月16日~3月15日です。
また年末調整がありませんので、2年目以降も確定申告をする必要があります。
寄付金控除
ふるさと納税も寄付金控除のひとつですが、個人が住民税の税額控除を受けられる寄付金控除は、以下のようになっています。
- 公益社団法人・公益財団法人(旧民法34条により設立された法人で科学技術の研究などを行う特定の法人等を含む(平成25年11月までの経過措置))
- 私立学校法人で、学校の設置若しくは学校及び専修学校、若しくは各種学校の設置を主たる目的とする法人
- 社会福祉法人
- 更生保護法人
- 都道府県知事・指定都市市長が認定したNPO法人(※平成23年度改正前は国税庁長官が認定)
- 政党等に対する政治活動に関する寄附金
(出典:総務省HP)
住民税の納付方法は? 普通徴収と特別徴収がある
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普通徴収
自分で納付する方法です。
個人事業主やフリーランスの人などです。
会社を辞めて、退職時に会社から一括で特別徴収していない場合などでも、自分で市町村に普通徴収します。
特別徴収
特別徴収は、会社が給与から住民税を源泉徴収して、会社から市町村に住民税を納付する方法です。
サラリーマンからすると、こちらの方が「普通」のように感じると思います(私もそうでした)。
所得税にしても住民税にしても、日本は「申告納税制度」を採用しているため、自分で確定申告をするのが基本なのです。
70年以上の前のシャウプ勧告でも年末調整の廃止が勧告されています。
つまり本来サラリーマンも自分で確定申告をして、自分で所得税、住民税を納付しなければならないのです。
ということで、自分で住民税を納付するのが「普通」徴収で、会社が納付するのが「特別」徴収なのです。
住民税って誰が納めるの? 市町村に住所がある人
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住民税は基本的にすべての国民が納付する税金です。
その対象は、
- 市町村に住所がある人
- 市町村に住所はないが、事務所、事業所または家屋敷のある人
となっています。
また、市町村に住所がある人、市町村に住所はないが、事務所、事業所または家屋敷のある人によって「均等割」「所得割」の要件が変わってきます(均等割、所得割については後述)。
さらに住民税を納付する必要がない人もいます。
市町村に住所がある人 | 市町村に住所はないが、事務所、事業所または家屋敷のある人 | |
---|---|---|
均等割 | 〇 | 〇 |
所得割 | 〇 | × |
個人住民税が非課税となる要件
- 生活保護を受けている
- 未成年者、障がい者、寡婦、ひとり親で前年の合計所得金額が135万円以下(所得が給与所得のみ場合は、給与収入が204万4000円未満)
- 前年の合計所得金額が各地方自治体の定める額以下
均等割と所得割と非課税と
特に「前年の合計所得金額が各地方自治体の定める額以下」という要件が、「各地方自治体の定める額」となっているように、住民税の非課税の要件は市町村によって違います。
以下は東京都練馬区の例ですが、
均等割と所得割のどちらも課税されない場合(非課税)
(1) 1月1日現在、生活保護法による生活扶助を受けている場合(2) 1月1日現在、障害者、未成年者、寡婦、ひとり親で、前年中の合計所得金額が135万円以下の場合
(3) 前年中の合計所得金額が、つぎの金額以下の場合
a 同一生計配偶者・扶養親族がいない場合 45万円
b 同一生計配偶者・扶養親族がいる場合 35万円×(同一生計配偶者+扶養親族数+1)+31万円※合計所得金額とは、住民税の所得割の対象となる各種所得金額の合計額のことです。
合計所得金額の算出方法は、住民税のページをご覧ください。※同一生計配偶者には、控除対象配偶者も含みます。
※扶養親族数には、16歳未満の扶養親族(年少扶養親族)も含みます。
所得割が課税されない場合(均等割のみ課税される場合)
上の「均等割と所得割のどちらも課税されない場合」に該当しない場合で、前年中の総所得金額等がつぎの金額以下の場合
a 同一生計配偶者・扶養親族がいない場合 45万円
b 同一生計配偶者・扶養親族がいる場合 35万円×(同一生計配偶者+扶養親族数+1)+42万円※総所得金額等とは、合計所得金額から、繰り越すことが認められている損失額を差し引いた金額のことです。
※同一生計配偶者には、控除対象配偶者も含みます。
※扶養親族数には、16歳未満の扶養親族(年少扶養親族)も含みます。
(出典:練馬区HP)
- 均等割と所得割のどちらも課税されない場合(非課税)
- 所得割が課税されない場合(均等割のみ課税される場合)
とふたつのパターンがあります。
各市町村で住民税の非課税についてページを用意しています。
Google検索で、例えば練馬区の場合「練馬区 住民性非課税」と検索すると「非課税となる基準:練馬区公式ホームページ」などと表示されます。
住民税のかからない所得
また、住民税のかからない所得というものもあります。
- 障害年金や遺族が受ける恩給や年金
- 雇用保険の失業給付
- 労働者災害補償保険の保険給付
- 職業訓練受講給付金(※訓練生活支援給付金は課税対象になります)
- 高等学校等就学支援金
- 生活保護の給付
- 通勤手当のうち月額15万円まで
- 相続、贈与などによって取得した資産(※相続税や贈与税の対象になります)
- 児童手当(※児童育成手当は課税対象になります)
- 出産手当金
- 育児休業給付金
- 傷病手当金
- 特別定額給付金
住民税ってどうやって計算するの? 道府県民税と市町村税、所得割と均等割
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住民税には道府県民税と市町村民税、所得割と均等割がある
住民税には、
- 道府県民税
- 市町村民税
があります(東京都は都民税)。
さらに「道府県民税」には、
- 所得割
- 均等割
があります。
また、「市町村民税」にも「所得割」と「均等割」があります。
つまり、道府県民税の所得割と均等割、と市町村民税の所得割と均等割をまとめたものが住民税です。
均等割の金額、所得割の税率
道府県民税 | 市町村民税 | |
---|---|---|
均等割 | 1,500円 | 3,500円 |
所得割 | 4% | 6% |
- 道府県民税の均等割が1,500円
- 市町村民税の均等割が3,500円
- 道府県民税の所得割が4%
- 市町村民税の所得割が6%
均等割と所得割については、現在道府県民税の均等割が1,500円、市町村民税の均等割が3,500円、道府県民税の所得割が4%、市町村民税の所得割が6%となっています(2022年(令和4年)5月22日現在)。
所得割の計算方法
サラリーマンの場合
- 所得割=課税標準×税率
- 課税標準=所得−控除
- 所得=収入-給与所得控除
個人事業主やフリーランスの場合
- 所得割=課税標準×税率
- 課税標準=所得−控除
- 所得=収入-経費
住民税と所得税に納付時期の違いがあるって? 住民税は後払い、所得税はその時払い
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サラリーマンの場合、住民税と所得税には納付時期の違いがあります。
住民税は後払い、所得税はその時払い
サラリーマンは会社が年末調整をします。
年末調整の結果、その年の所得が決まります。
所得税はその所得を元に概算で毎月源泉徴収をします。
一方、住民税は、会社が年末調整の結果を税務署に申告して、税務署から各社員の住所地の各市町村に各社員の所得のデータが連携されます。
その所得のデータを元に、各市町村は住民税を計算します。
住民税が決まると、各市町村は会社に各社員の住民税決定通知書を送ります。
会社はその住民税決定通知書を元に住民税を源泉徴収します。
さらに細かく言うと、
住民税決定通知書によって会社に知らされた住民税を、会社が源泉徴収し始めるのは6月からです。
つまり、6月から翌年の5月まで、市町村から住民税決定通知書によって会社に知らされた住民税を源泉徴収します。
年末調整をしますが、1月~5月は前々年の所得を元にした住民税、6月~12月は前年の所得を元にした住民税となりますので、多く源泉徴収していたら還付、少なく源泉徴収していたら徴収という形で調整します。
例えば、2021年(令和3年)に年末調整をします。
2022(令和4年)年1月~5月は2020年(令和2年)の住民税の金額です。
2022(令和4年)年6月~2023年(令和5年)は2021年(令和3年)5月の住民税の金額です。
- 2022(令和4年)年1月~5月は2020年(令和2年)の住民税の金額
- 2022(令和4年)年6月~2022年(令和4年)は2021年(令和3年)5月の住民税の金額
となりますので、2022年(令和4年)の住民税の金額は正確なものではありません。
そこで2022年(令和4年)の12月に年末調整をして還付、徴収して調整するのです。
個人事業主やフリーランスはその年払い
個人事業主やフリーランスの場合は、サラリーマンとは違います。
個人事業主やフリーランスの場合は、確定申告をして所得が確定するとすぐに所得税を納付します。
住民税は所得税とは違います。
住民税についてはサラリーマンと似た部分があり、税務署から市町村に所得などのデータが共有され、市町村が住民税を計算して住民税決定通知書(納税通知書など)が送られてきます。
そして、その住民税を6月(もしくは分割)に個人事業主やフリーランスの人は納付します。
例えば2021年(令和3年)に確定申告をすると、2022年(令和4年)の5月か6月頃に市町村から、住民税決定通知書(納税通知書など)が送られてくるので、納付するということです。
住民税を滞納すると? 延滞税が発生 最悪財産差し押さえ
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住民税を滞納するとどうなるのでしょうか?
以下が考えれらます。
- 延滞金
- 督促状
- 財産差し押さえ
住民税・軽自動車税の滞納について
・税金を決められた納期限までに納付しないことを滞納といいます。
・納税が遅れると、まず納期限後35日以内に督促状を発送します。
・督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに完納しないときは、予告なく財産(預貯金・給与・不動産等)の差押や公売などの滞納処分が取られることがあります。
・納期限内に納めた方との公平を保つため、本来納めるべき税額のほかに延滞金もあわせて納付していただくことになります。
・納期限までに税金を納付することが困難な事情がある場合には、そのまま放置せず直接区役所税務課までお越しいただくか、または電話にて納付相談をしてください。
・納付相談窓口は、平日の午前8時30分から午後5時15分までです。毎週火曜日は午後7時まで延長窓口を実施しています。
(出典:品川区HP)
例として、品川区のホームページに案内されている住民税の延滞に関する記述ですが、督促状が来た上で、最終的には財産差し押さえをする。さらに延滞金を科すとなっています。
微妙に住民税決定通知書ではないのだが? いろんな呼び方がある住民税決定通知書
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一般的に住民税決定通知書と言っていますが、市町村によって、またサラリーマンか個人事業主やフリーランスによって住民税決定通知書の名称が違います。
例えば以下のとおり
- 特別徴収税額通知書
- 納税通知書
- 税額決定兼納税通知書
- 個人市民税・県民税の税額決定通知書
- 住民税課税決定通知書
- 市県民税税額決定通知書・納税通知書
- 個人住民税の税額決定・納税通知書
- 納税通知書・税額決定通知書
- 住民税納付通知書
- 市民税・都民税(住民税)納税通知書
- 個人住民税(市民税・都民税)納税通知書
- 個人市・府民税の通知書類
- 市民税・県民税 特別徴収税額の決定通知書
- 特別区民税・都民税 税額決定・納税通知書
すべて住民税決定通知書です。
住民税決定通知書が会社からもらえない? 課税証明書や納税証明書で代替もしくは会社にお願い
住民税決定通知書が会社からもらえないということがあるようです。
住民税決定通知書は市町村が社員用も含めて会社に送ってくるので、普通はもらえるはずです。
ただ、もし会社から住民税決定通知書がもらえないのであれば、その住民税決定通知書が必要な理由はなんなのでしょうか?
所得を証明するという意味であれば、課税証明書や納税証明書で代替できる可能性が高いです。
提出先(例えば住宅ローンを組む際の金融機関等)がどうしても住民税決定通知書と言うのであれば、会社には源泉徴収用の住民税決定通知書が必ずありますので、そのコピーで代用するという方法もあります。
>住民税決定通知書が会社からもらえない件についてくわしくはこちら

まとめ
住民税ってなに?ということでしたが、住民税は地方税です。住民税は身近な行政サービスに使われています。
住民税の確認方法は、住民税決定通知書で確認します。
住民税は節税できないのか?については、所得控除と税額控除で減税できます。
住民税の納付義務があるのは市町村に住所がある人です。
住民税の計算方法について、道府県民税と市町村税、所得割と均等割についてまとめました。
住民税と所得税に納付時期の違いあります。住民税は後払い、所得税はその時払いです。
住民税を滞納すると、延滞税が発生し、最悪財産差し押さえとなります。
微妙に住民税決定通知書と言う名称ではない場合があります。住民税決定通知書にはいろんな呼び方があります。
住民税決定通知書が会社からもらなかったら、課税証明書や納税証明書で代替、もしくは会社にお願いすることを検討してください。
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