
住民税決定通知書は、その年の(6月から翌年5月まで)の住民税額を教えてもらう書類で、さらにその住民税額の計算の元となった収入、所得、控除などの項目や金額を知ることができるものです。
この住民税決定通知書は、住宅ローン、クレジットカードなどのローンの審査の際の証明としても使用されたり、ふるさと納税の控除額の確認にも使われます。
その住民税決定通知書を、もらってないとか、もらえないとか、届かないとか、そんな話を耳にしました。
そこで、住民税決定通知書を、もらってないとか、もらえないとか、届かない、そのあたりについて書いてみたいと思います。
住民税決定通知書を会社からもらえない?もらってない?届かない?もらっていない?くれない会社があるの?
あります

住民税決定通知書を会社からもらえない?もらってない?届かない?もらっていない?くれない会社があるの? あります
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- 住民税決定通知書を配布しない会社はある
- 会社は住民税決定通知書を配布する義務はない
住民税決定通知書が来ない会社があるか?
私の経験上はそのような会社は聞いたことがありません。
ただ、住民税決定通知書を会社が配布する義務はないようです。
住民税決定通知書を会社は配布する義務はない
法律的には会社は従業員に住民税決定通知書を配布する義務はないようです。
<参考>地方税法321条の4第1項
市町村は、前条の規定により特別徴収の方法によつて個人の市町村民税を徴収しようとする場合には、当該年度の初日において同条の納税義務者に対して給与の支払をする者(他の市町村内において給与の支払をする者を含む。)のうち所得税法第百八十三条の規定により給与の支払をする際所得税を徴収して納付する義務がある者を当該市町村の条例により特別徴収義務者として指定し、これに徴収させなければならない。この場合においては、当該市町村の長は、前条第一項本文の規定により特別徴収の方法によつて徴収すべき給与所得に係る所得割額及び均等割額の合算額又はこれに同条第二項本文の規定により特別徴収の方法によつて徴収することとなる給与所得以外の所得に係る所得割額(同条第四項に規定する場合には、同項の規定により読み替えて適用される同条第二項本文の規定により特別徴収の方法によつて徴収することとなる給与所得及び公的年金等に係る所得以外の所得に係る所得割額)を合算した額(以下この節において「給与所得に係る特別徴収税額」という。)を特別徴収の方法によつて徴収する旨(第七項及び第八項において「通知事項」という。)を当該特別徴収義務者及びこれを経由して当該納税義務者に通知しなければならない。
(出典:e-Gov)
市町村の長は、特別徴収税額(住民税額)を、特別徴収の方法によつて徴収する旨を、当該特別徴収義務者(会社)及びこれを経由して当該納税義務者(社員)に通知しなければならない。
となっていて、「市町村」が通知しなければならないのであって、特別徴収義務者(会社)が通知しなければならないわけではない。
ということです。
しかし「経由」するのであるから、特別徴収義務者(会社)も義務があるのではないか?という考え方も出てきます。
<参考>地方税法50条の9(特別徴収票)第五十条の九 分離課税に係る所得割の特別徴収義務者は、総務省令で定めるところにより、その年において支払の確定した退職手当等について、その退職手当等の支払を受ける者の各人別に特別徴収票二通を作成し、その退職の日以後一月以内に、第三百二十八条の十四の特別徴収票とあわせて、一通を市町村長に提出し、他の一通を退職手当等の支払を受ける者に交付しなければならない。ただし、総務省令で定める場合は、この限りでない。
(出典:e-Gov)
これは、退職金にかかる住民税に関する地方税法の規定です。
特別徴収義務者(会社)は、特別徴収票二通を作成し、一通を市町村長に提出し、他の一通を退職手当等の支払を受ける者(退職する社員)に交付しなければならない。
とされています。
つまりここでは、
特別徴収義務者(会社)が支払を受ける者(退職する社員)に「交付しなければならない」。
と明記されているわけです。
- 住民税:市町村の長が特別徴収義務者を経由して通知しなければならない。
- 住民税(退職金):特別徴収義務者(会社)が交付しなければならない
それらを勘案すると、特別徴収税額(住民税額)を納税義務者(社員)に通知する義務があるのは、市町村の長であって、特別徴収義務者(会社)ではないと解釈できるのです。
住民税決定通知書を会社がくれない? サラリーマンなら会社がくれる
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- 普通は会社が住民税決定通知書を配布する
「住民税決定通知書が届かない・・・」と思っている人は、市町村から送られてくると思っていないでしょうか?
もし貴方がサラリーマンなら、住民税は給料から天引きされています。
これを特別徴収と呼びますが、住民税は前年の年末調整を元に各市町村が計算、決定し、会社に通知してきます。
これが住民税決定通知書となるのですが、この住民税決定通知書は市町村ではなく、会社から受け取ることになっています。
つまり、貴方がサラリーマンで住民税決定通知書をもらっていないのであれば、会社の給与担当部門に問い合わせましょう。
サラリーマンじゃないから住民税決定通知書が来ない? サラリーマンじゃないなら市町村が送ってくる
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- サラリーマンでなければ住民税決定通知書は市町村が送ってくる
- サラリーマンは特別徴収、サラリーマンでなければ普通徴収
サラリーマンでない人は、住民税決定通知書は市町村が送ってきます。
6月初旬に送られてくるので、まだ時期ではない可能性もあります。
もし6月初旬以降、しばらくたっても来ないようならお住いの市町村に問い合わせましょう。
サラリーマンの特別徴収に対して、こちらは普通徴収と言います。
ちなみにサラリーマンでも普通徴収の場合もあります。
住民税決定通知書をなにに使うの? 課税証明書や納税証明書でOKな場合も
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- 住民税決定通知書の代わりに課税証明書や納税証明書
一般的には住民税決定通知書は、会社から配布されます。
ただ、今、住民税決定通知書が必要な理由はなんでしょうか?冒頭に「住宅ローンやクレジットカード、ローンの審査の際の証明としても使用されることがある」などと書きました。
これは収入や所得を証明するためだと思います。提出先にもよりますが、実は収入や所得を証明するには、住民税決定通知書よりも課税証明書、納税証明書の方が適しているのです。
つまり、もし会社に言いにくいような場合には、提出先に確認して、可能であるならば市町村などの自治体で課税証明書、納税証明書を入手すれば解決です。
<驚きの事業復活支援金> 2022年コロナ禍で事業復活支援金という給付金制度が設けられました。 そもそもなぜ確定申告書(ここでの言及は青色申告決算書でない)を提出するかというと、「所得」の証明です。 再度、事業復活支援金事業 コールセンターに連絡をして、そのまま申請し直してくれとのことで、まだ可とも非とも連絡はありません。 いろいろ事情を考えると仕方がない部分もあるとは思いますが、元々の制度設計(特に「確定申告書」の代替が「住民税申告書」である点や代替措置)に問題があると思いました。 (2022年5月18日現在) |
住民税決定通知書をどうしても欲しい? 会社にお願いする
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- 住民税決定通知書の再発行を会社にお願いする
先述のとおりほとんどの場合は住民税決定通知書でなくてもことは足りるわけですが、どうしても住民税決定通知書が欲しければ会社にお願いすべきでしょう。
会社には市町村などの自治体から必ず住民税決定通知書が送られてきているはずです。
また、会社用の住民税決定通知書も送られてきているはずですので、なんらかの理由で配布用の原本がない場合にはコピーを入手するという選択肢もあります。
住民税決定通知書の利用用途は? 住宅ローンの申込手続、ふるさと納税による控除額の確認
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- 住民税決定通知書の利用用途
- 住宅ローンの申込手続
- ふるさと納税による控除額の確認
住民税決定通知書にはどのような利用用途があるのでしょうか?
それは、主に住宅ローンの申込手続、ふるさと納税による控除額の確認です。
住宅ローンの申込手続
住宅ローンの申込をすると、金融機関は住宅ローンを組んだ人の支払い能力を確認する必要があります。
物件価格までの融資が可能か、いくらくらいまでの融資が可能かなど、その人の返済能力などを調査した上で融資します。
もし会社が住民税決定通知書を配布してくれないのであれば、上述しているように収入や所得を証明するには、住民税決定通知書よりも課税証明書、納税証明書がありますので、金融機関等に「課税証明書、納税証明書で代替できないか?」を確認した方がいいでしょう。
ふるさと納税による控除額の確認
ふるさと納税をすると住民税が控除されます。
その住民税が控除されているかどうかを確認するのは住民税決定通知書です。
ふるさと納税にはワンストップ特例制度と確定申告があります。
ふるさと納税 ワンストップ特例制度と住民税決定通知書
ふるさと納税をワンストップ特例制度を利用して申請すると、住民税の減税のみの控除となります。
つまり、ふるさと納税をワンストップ特例制度を利用して申請した場合、ふるさと納税の恩恵である住民税からの控除は住民税決定通知書で確認することになります。
ふるさと納税 確定申告と住民税決定通知書
ふるさと納税を確定申告すると、住民税と所得税の両方からの控除となります。
ふるさと納税を行った年の所得税からの控除(還付)と、翌年の住民税から控除となります。
つまり、確定申告した場合、ふるさと納税の恩恵である住民税と所得税からの控除のうち、住民税は、住民税決定通知書で確認することになります。
まとめ
住民税決定通知書を会社からもらえない?もらってない?届かない?もらっていない?くれない会社があるの? ということでしたが、住民税決定通知書をくれない会社はあります。
住民税決定通知書を会社がくれないのか?についは、 サラリーマンなら普通は会社がくれます。
サラリーマンじゃなく住民税決定通知書が来ないですか? サラリーマンじゃないなら市町村が送ってきます。
住民税決定通知書は、課税証明書や納税証明書で代替できる場合が多いです。
住民税決定通知書をどうしても欲しいなら、会社にお願いしてみましょう。
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