医療費控除をさかのぼることはできるか?
還付申告は5年間遡って申告できる
確定申告は遡って申告できるかというと、還付申告は5年間遡って申告できます。
よく勘違いしがちなのが、個人事業主などの確定申告と医療費控除などの還付申告です。
個人事業主などのいわゆる確定申告は2月16日から3月15日です。
医療費控除などの還付申告は基本的にいつでもできます。
そして5年間遡ることができます。
また個人事業主などの確定申告の場合は、遡ることができるか?というより遡って申告しなければ!ということでしょう。
医療費控除をさかのぼることはできるか?
還付申告は5年間遡って申告できる
医療費控除をさかのぼることはできるか?
還付申告は5年間遡って申告できる
医療費控除を遡って申告するやり方は?
遡るからといって特別なことはないが注意点はある
医療費控除を遡って申告するやり方は?還付申告ではない確定申告は?
遅くなればなるほど増えるペナルティ
- 医療費控除をさかのぼることはできるか? 還付申告は5年間遡って申告できる
- 医療費控除を遡って申告するやり方は? 遡るからといって特別なことはないが注意点はある
- 医療費控除を遡って申告するやり方は?還付申告ではない確定申告は? 遅くなればなるほど増えるペナルティ
- まとめ
医療費控除をさかのぼることはできるか? 還付申告は5年間遡って申告できる
医療費控除をさかのぼることはできるか?還付申告は5年間遡って申告できる
医療費控除などの還付申告は5年遡って申告できます。
よく勘違いしてしまうことに、いわゆる個人事業主などの確定申告と医療費控除などの還付申告(確定申告)を混同して、医療費控除などの還付申告が個人事業主などの確定申告と同じように2月16日から3月15日(2020年は特例にて別途)と思ってしまうことです。
もしそのように勘違いしてしまってこのページにきてしまったのであれば、医療控除などの還付申告(確定申告)は3月15日(2020年は特例にて別途)を過ぎてしまっても申告できます。
医療費控除などの還付申告の期限は5年後
医療費控除などの還付申告期間は翌年1月1日から5年後の12月31日
医療費控除などの還付申告の期限はいつなのでしょうか。医療費控除などの還付申告の期限は5年後です。
正確に言うと、
医療費控除などの還付申告をする期限は対象の期間の翌年1月1日から数えて5年後の12月31日
つまり2020年に医療費控除などの還付申告をしようと思ったら、
医療費控除などの還付申告をする期限は2024年(令和6年)12月28日(月)
です。
これは、土曜日、日曜日と重なると順次繰り下げ、月曜日までとなるのですが、2024年(令和6年)12月31日が水曜日ですので、それには当てはまらず、そのまま12月31日となります。
医療費控除を遡って申告するやり方は? 遡るからといって特別なことはないが注意点はある
医療費控除を遡って申告するやり方は?遡るからといって特別なことはないが注意点はある
医療費控除などを遡って申告するやり方について、後述のように期限を2月16日から3月15日(2020年は特例にて別途)と勘違いしていない場合、つまり5年さかのぼれると理解していても、5年間の間に変わっていることもありますので注意が必要です。
注意点としては以下です。
源泉徴収票は紛失していないか?
医療費控除なら医療費の領収書はあるか?
確定申告書の書式は変わっていないか?
など
源泉徴収票は紛失していないか?
源泉徴収票は紛失していないか?については、紛失しているかなり可能性がかなり高いと思います。
しかし源泉徴収票は会社に言えば再発行してくれます。
もし転職していても前職の会社に言えば再発行してくれます(嫌ですが割り切りましょう)。
医療費控除なら医療費の領収書はあるか?
医療費控除なら医療費の領収書はあるか?についてですが、紛失しているかなり可能性がかなり高いと思います。
こちらは再発行してもらえる可能性は低いかもしれません。
しかし、医療機関によっては領収書に代わるものを発行してくれるケースもありますので問い合わせてみる価値はあります。
また、以下のような形で医療費を支払った事実を税務署が確認できるようにしておくことで、医療費控除が認められるケースもあるようです。
支払先の住所、氏名、支払金額を記載したメモを、診察券や薬袋などとともに保管
など
確定申告書の書式は変わっていないか?
こちらも5年もあれば変わる可能性はかなり高いと思います。
税金に関する法律は頻繁に改正されていて、そのたびに企業の年末調整担当者や個人事業主は右往左往させられています。
一般の消費者レベルでも消費税増税だけならまだしも、本来弱者を救うべく軽減税率はただ混乱を招いているだけです。
確定申告書も所得税法などの改正に合わせて変わっていきます。
そこで便利なのは国税庁の確定申告書作成コーナーです。
国税庁のHPから利用できますが、その年年の税制改正に対応したシステムになっているはずですので、こちらを利用すれば間違いありません(と言うか税務署も文句を言えないでしょう)。
医療費控除遡って(さかのぼらなくても)申告するやり方
医療費控除ってなに?
医療費控除はサラリーマンに税金が還付されます
医療費控除とは、簡単に言うと税金が戻ってくることです。
さらに詳しく言うと、医療費控除とは、1年間の本人あるいは家族のために医療費を支払った場合、一定金額の所得控除を受けられ、払い過ぎている所得税や住民税が戻ってきます。
具体的には、サラリーマンなどの会社員は、所得税や住民税を会社が源泉徴収、年末調整して支払っています。
その所得税や住民税は、個々の担税力(税金を支払うことができる経済力)によって平等に負担するように計算するシステムになっています。
それは、年末調整のときの扶養控除や保険料控除のように、一定の基準によって、収入から個々の家族などの状況によって控除をして、残った所得に対して税金をかけるようにしているのです。
10万円以下(だけじゃない)
そのシステムの中では、単純には医療費は10万円以下と設定されています。
つまり10万円を超えた場合には、担税力を超えた税金を支払っていることになるのです。
そこで、想定より多く医療費を支払った人は、そもそも税金の計算の基礎となる控除額がもう少し多くあるべきということで、その超えた部分の計算をし直して、余った分を返しましょうということです。
細かく言うと
単純に医療費は10万円と覚えておくと楽ですが、本当はそれだけではありません。
医療費控除の対象は、
課税所得が200万円以上の場合は10万円
課税所得が200万円未満の場合は総所得額の5%
課税所得についてはこちらの記事をご覧ください。

医療費控除ってどうやるの?
医療費控除を受けるためには、確定申告(還付申告)をする必要があります。
基本的には、申告書を用意して、税務署に申告するだけです。
確定申告書等作成コーナーを使えばだれでもできる
国税局のホームページにある確定申告書等作成コーナーを使えば、より簡単に申告書を作成することができます。
国税庁というと難しそうですが、やってみるとカンタンです。
さらに朗報!e-taxが便利になった
確定申告書等作成コーナーを使ってもいいのですが、2019年からe-taxが便利になっています。
これまでe-taxはマイナンバーカードやICicカードリーダーライタが必要で、特にICicカードリーダーライタを医療費控除だけのために用意するには抵抗がありました。
2019年からは、暫定的ではあるものの「ID・パスワード方式」というものが導入され、マイナンバーカードやICicカードリーダーライタがなくても確定申告(還付申告)ができるようになったのです。
さらにe-taxにスマホの専用デザインが用意され、スマホからでもより使いやすくなりました。このスマホ専用デザインは会社員の還付申告用の部分だけで、個人事業主などにはあまりメリットはないのですが、会社員にとってはとても朗報なのです。
e-taxが便利になった件についてはこちらの記事をご覧ください。

いつすればいいの?
会社員の確定申告(還付申告)については、5年前まで遡って申告することができます。期間についても、1月1日から受付けています。
つまり前年の1月1日から12月31日までの所得について、翌年の1月1日から5年後の12月31日まで申告できます。
なにを用意すればいいの?
源泉徴収票
医療費の領収書やレシート
医療費通知
交通費の領収書
医療費控除の明細書
確定申告書A
マイナンバーの本人確認書類の添付台紙
源泉徴収票
会社員であれば年末調整の際にもらっています。紛失した場合は会社に再発行を依頼します。
医療費通知
健康保険組合から医療費通知というものが来ることがあります。これは必ず来るものではなく、組合によって対応が違うようです。
医療費通知があれば医療費控除の明細書は不要です。また領収書やレシートの添付も不要です。
医療費通知がなければ医療費控除の明細書が必要ですが、領収書やレシートの添付は不要です。ただしこの場合は領収書やレシート5年間の保管義務はあります。
医療費の領収書やレシート
とにかく空き箱にでも入れておいて、申告の時に整理すればいいと思います。もし捨ててしまっていたら、今年こそは来年のために取っておきましょう。
ちなみに私が以前申告した際は、日々、発生するたびに確定申告書等作成コーナーで入力してしていました。なかなか翌年(今年)のものに更新されませんが、前年度分(去年)としてデータをPCにダウンロードしてとっておき、確定申告書等作成コーナーのデータが翌年(今年)分に更新されればそのデータがそのまま使えます。
交通費の領収書
公共交通機関を使用した場合の通院費などは医療費控除に該当します。逆に自家用車のガソリン代や駐車料金などは該当しません。
公共交通機関を使用した場合の通院費などの領収書がないことが考えられますが、明細書を別途作成することで対応できます。
医療費控除の明細書
医療費控除の明細書はこちらからダウンロードできます。
確定申告書A
医療費控除の申告には確定申告書Aが必要で、税務署で入手したり、国税庁のHPからダウンロードすることができます。
前述の確定申告書等作成コーナーを使えば手書きすることなくPCで必要事項を入力すれば、カンタンに申告書を作成することができます。
マイナンバーの本人確認書類の添付台紙
申告書にはマイナンバーの記載欄がいくつかあります。エビデンスとしてマイナンバーの写しが必要になりますが、添付書類台紙というものに貼り付けることになります。
添付書類台紙はこちらです。
マイナンバーを持っていない場合は、「通知カードや住民票の写しまたは住民票記載事項証明書」と運転免許証などの「マイナンバーの持ち主であることを確認できる書類」の両方が必要になります。
どこに行けばいいの?
管轄の税務署です。
セルフメディケーション税制
いまどきちょっとおトクなセルフメディケーション税制
おトクなセルフメディケーション税制
セルフメディケーション税制の市販薬とは?
製薬会社のHPに載っています。
ドラッグストアのHPにも載っています。
通販でも
ただし条件もあります。
おトクなセルフメディケーション税制
簡単に言いましょう。
セルフメディケーション税制とは、言ってみれば”手軽な医療費控除”のようなものです。
医療費控除というのは、サラリーマンでも恩恵を受けられる確定申告(還付申告)のひとつですが、その対象は年間10万円を超える医療費でした。
セルフメディケーション税制は、年間12,000円を超える市販薬を購入した場合受けられ所得控除なのです。
10万円というとハードルが高いですが、12,000円ならば可能性が高いと思いませんか?
もう少しきちんと書きますと、
医療費控除は、医療費が年間に10万円を超えると、それを確定申告(還付申告)することによって還付金が受けられる制度です。
セルフメディケーション税制は、市販薬の購入代金が年間に12,000円を超えると、それを確定申告(還付申告)することによって還付金が受けられる制度です。
例えば年間の医療費が10万円を超えるほどではなくても、市販薬を12,000円を超えて購入していれば、確定申告(還付申告)することによって還付金が受けられるのです。
セルフメディケーション税制の市販薬とは?
セルフメディケーション税制の市販薬は、OTC医薬品(一般用医薬品)とも呼ばれている、このマークがついている薬です。
製薬会社のHPに載っています。
対象のOTC医薬品はホームページにも載っています。
など
ドラッグストアのHPにも載っています。
など
通販でも
など
ただし条件もあります。
セルフメディケーション税制で還付金を受けるには、以下を受けていなければなりません。
特定健康診査(いわゆるメタボ健診)
予防接種
定期健康診断(事業主健診)
健康診査
がん検診
確定申告(還付申告)をして還付金を受けるということは、当然、所得税や住民税を納めている必要があります。
また、もうひとつ重要な点があり、
医療費控除とセルフメディケーション税制は併用できない
ということです。
ちょっと還付金をシミュレーション
実際、セルフメディケーション税制はどれくらいおトクなのでしょうか。ちょっと還付金をシミュレーションしてみました。
※シミュレーションはあくまで概算であり、参考還付金金額です。
パターン①
医療費120,000円 OTC医薬品20,000円の場合
還付金例 | 還付金 | |
---|---|---|
医療費控除 | 6,000 | 6,000 |
セルフメディケーション税制 | 2,400 | – |
※医療費:所得税4,000+住民税2,000
※セルフメディケーション税制:所得税1,600+住民税800
パターン②
医療費120,000円 OTC医薬品50,000円の場合
還付金例 | 還付金 | |
---|---|---|
医療費控除 | 6,000 | – |
セルフメディケーション税制 | 11,400 | 11,400 |
※医療費:所得税4,000+住民税2,000
※セルフメディケーション税制:所得税7,600+住民税3,800
パターン③
医療費20,000円 OTC医薬品20,000円の場合
還付金例 | 還付金 | |
---|---|---|
医療費控除 | 0 | – |
セルフメディケーション税制 | 2,400 | 2,400 |
※医療費:所得税0+住民税0
※セルフメディケーション税制:所得税1,600+住民税800
パターン④
医療費20,000円 OTC医薬品50,000円の場合
還付金例 | 還付金 | |
---|---|---|
医療費控除 | 0 | – |
セルフメディケーション税制 | 11,400 | 11,400 |
※医療費:所得税0+住民税0
※セルフメディケーション税制:所得税7,600+住民税3,800
以上、例えばパターン①は今まで医療費控除の恩恵を受けていた人です。OTC医薬品の購入有無にかかわらず、いままでどおりの医療費控除が受けられ還付金があります。
パターン②は、今まで医療費控除を受けていて、さらにOTC医薬品の購入が大きな負担だった人ですが、セルフメディケーション税制のおかげでより多くの還付金を受けられます。
パターン③は医療費全体では控除を受けられず、OTC医薬品の購入をしていた人。まさにセルフメディケーション税制で恩恵を受けられ、還付金を受け取れます。
パターン④はちょっと極端な例ですが、OTC医薬品を多く購入しているにもかかわらず、医療費が10万円を超えないパターンです。またOTC医薬品でも医療費控除の対象ではないものもあります。このような場合もセルフメディケーション税制の恩恵があり、還付金が受け取れます。
おススメ
結局シミュレーションしてみると、セルフメディケーション税制のおかけで還付金の恩恵を受けられる人が多くなったということは間違いないのですが、人によって医療費控除がいいのか、セルフメディケーション税制がいいのかは違ってきます。
私も医療費控除の申告をしていた時期がありますが、おススメはやはり病院や薬局のレシート、領収書は取っておくということです。
仮に1年を通して、医療費控除もセルフメディケーション税制も受けられない、申告しても少額なのでコスパが悪いという場合でも、その時は捨ててしまえばいいわけで、邪魔にならない場所に箱でも用意して放り込んでおいて、まとめてチェックすればいいと思います。
で?確定申告の医療費控除とセルフメディケーション税制とどっちがトクなの?
確定申告の医療費控除とセルフメディケーション税制とどっちがトクかと言う問題ですが、その人、その家庭が医療機関やどんな医薬品をつかっているかによって違ってきます。
以前は国税庁のHPに簡単な試算ページがあったのですが、今はなくなっています。
正直なところどうか?と言えば、セルフメディケーション税制は例えばその医薬品がセルフメディケーション税制の対象かどうか?を考えて医薬品を選ぶか?などかなり面倒な部分があります。
節約、節税をきちんとやっている人でもめんどくさいのではないでしょうか(もちろんできる人はやってもいいと思いますが)?
医療費控除とセルフメディケーション税制でどちらがトクかを考えてる時点で面倒になって、結局どちらもやらないなら、せめて医療費控除だけはやったほうがいいと考えます。
医療費控除を遡って申告するやり方は?還付申告ではない確定申告は? 遅くなればなるほど増えるペナルティ
医療費控除を遡って申告するやり方は?還付申告ではない確定申告は?遅くなればなるほど増えるペナルティ
もらえるものはもらいたいですし、払わなくていいものは払いたくありません。
還付申告が遡って申告できて、還付金がある。
確定申告は遡って申告すると、税金を納めなければならない。
しかし、だからと言って確定申告を遡るべきなのに遡らないとこんなペナルティがあります。
延滞税
無申告加算税
青色申告特別控除の減額
延滞税
法定納期限から2か月以内 | 7.3% |
法定納期限から2か月経過後 | 14.6% |
つまり早く気づいて、早く申告したほうがペナルティは少ないのです。
無申告加算税
自主的に申告 | 5% |
税務署の勧告を受けて申告 | 15~20% |
こちらも早く気づいて、早く申告したほうがペナルティは少ないのです。
青色申告特別控除の減額
最大65万円→10万円
2年連続で青色申告取消
しかし確定申告の期限を守らないと、まず最大65万円の青色申告特別控除が10万円になってしまいます。
またこちらも早ければ早いほどよく、2年連続で確定申告の期限を守らないと青色申告自体が取消になってしまいます。
まとめ
医療費控除をさかのぼることはできるか?ということでしたが、還付申告は5年間遡って申告できます。
医療費控除を遡って申告するやり方は、遡るからといって特別なことはありませんが注意点はあります。
還付申告ではない、いわゆる個人事業主などの確定申告については、遅くなればなるほど増えるペナルティが増えるので、できるだけ早く気づく、できるだけ早く遡って申告することが必要です。